害獣駆除の補助制度について
野生害獣による被害は全国的に発生しており、農林水産省の試算によると、令和4年度だけでも農作物の被害額は156億円にも上るとされています。同省では、全国的な野生害獣の被害に対処するため法律に基づき、「鳥獣被害防止総合対策交付金」を地方自治体に交付しています。
この交付金は、地方自治体の鳥獣対策の重要な原資です。国から各自治体に支給された交付金は、地方協議会や民間団体などにわたり、鳥獣の捕獲活動、捕獲機材の購入、侵入防止柵の整備、緩衝帯の整備、ジビエ利用などに活用されます。
害獣駆除の補助制度も、鳥獣防止対策の一環として地方自治体において実施されている制度です。ここでは制度の対象となる害獣や対象者、具体的な制度内容を解説します。
出典:農林水産省「鳥獣被害対策コーナー」
補助金・助成金制度の対象になる害獣
害獣駆除の補助金や助成金制度の対象になる害獣は、シカ、イノシシ、クマ、サル、ハクビシン、アライグマなどです。特に個体数が増加しているシカやイノシシ、重大な被害が懸念されるクマについては、対策に力を入れられるように国が支援を強化しています。
また、害獣駆除は地方自治体単位で行われているため、補助や助成の対象となる害獣が自治体によって異なる点に注意しましょう。一般的にはそれぞれの地域において被害の大きい害獣が対象となるため、今回取り上げた害獣でも制度の対象外になる場合があります。
補助金・助成金制度の対象者
害獣駆除の補助金または助成金制度の対象となるのは、基本的に申請しようとする自治体に住んでいる個人、またはその地域に事務所や工場などを有している法人です。
しかし上記に加え、申請者を「農地を有している方」や「防止柵などを維持できる方」に限定している地方自治体も一部存在します。
このように制度の対象者も各自治体で異なるため、申請前に対象に含まれるか確認しておきましょう。
補助金・助成金制度の内容
対象動物や申請対象者のみでなく、補助金や助成金の内容も自治体によって異なります。
害獣の捕獲については、捕獲する害獣によって支援金に差があるほか、同じ動物でも焼却や埋葬などの処理の仕方によって支援額が異なることもあります。
上記に加えて、箱わなの導入支援を実施している自治体もあるため、捕獲にかかる用具の支援があるかも確認しておくのがおすすめです。
また、捕獲だけでなく、害獣被害防止を支援する自治体もあります。例えば、電気柵やネット柵、金網柵の設置支援や柵の補強支援などです。農作物への被害を防止するために柵の設置や強化を考えている場合は、導入費用の支援があるか自治体のホームページなどで調べてみましょう。
【注意】害獣は勝手に駆除できない
害獣駆除で注意しなければならないのは、害獣を駆除しただけでは制度の対象にならないことです。補助金や助成金の支給を受けるには、各制度の要件に従って申請しなければなりません。
また、法律によって害獣を勝手に駆除できないことにも注意しましょう。害獣を無断で捕獲すると、鳥獣保護管理法や外来生物法違反に該当する場合があります。
鳥獣保護管理法(※1)とは、生物の多様性を確保しつつ、生活環境の保全や農林水産物の発展を目指すため、イエネズミ類などを除き原則として鳥獣の捕獲を禁止または制限しています。
この法規では、捕獲申請を行った狩猟免許を有する個人、あるいは許可を受けた個人でないと鳥獣の捕獲ができません。
外来生物法(※2)とは特定外来生物を規制する法律で、該当生物の飼育や栽培、運搬、輸入、保管、野外への放出などが禁止されています。
特定外来生物に該当する害獣を捕獲する場合、生きたままの捕獲や移動は「運搬」に当たることが懸念されるのです。
※1鳥獣保護管理法の正式名称:鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律
※2外来生物法の正式名称:特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律)
害獣の適切な駆除の仕方
上記で述べた通り、法律の関係上、害獣であっても捕獲や駆除は制限されるのが実状です。しかし、法に抵触しないよう害獣を駆除する方法も存在します。下記は適切な駆除方法です。
・忌避剤を使用する
・捕獲器を使う
それぞれ詳しくみていきましょう。
忌避剤を使用する
法律により害獣を駆除することはできませんが、忌避剤を使って追い出すことはできます。忌避剤とは、害虫が苦手とする薬剤や成分を含む薬剤です。
市販されている忌避剤には、局所的に利用するスプレータイプや広範囲を対象とする燻煙(くんえん)タイプなどがあります。また、これら以外に、唐辛子や酢など害獣が嫌う刺激臭のするものを設置するのもひとつの手です。
しかし、害獣の種類によって苦手とする忌避剤の種類が異なります。そのため、害獣の種類を特定できない場合は忌避剤を使用しても追い出せない場合もあるのです。
また、害獣を直接駆除する方法ではないため、確実に追い出せないこともあります。
捕獲器を使う
自治体によっては、捕獲器を貸し出しているところもあります。まずは自治体窓口へ害獣による被害を相談しましょう。
捕獲器を借りられる場合は、捕獲許可をはじめとする申請を行います。必要な手続きは各自治体で異なるため、必要な手続きや書類についても窓口で確認しておきましょう。
捕獲器を使う方法は、害獣を直接駆除するのに有効です。しかし、捕獲器を設置するだけであるため、害獣をうまく捕獲できない場合もあります。
また、自治体によっては捕獲器を借りられたとしても、害獣の回収までは行っていないこともあります。自治体の捕獲器を利用する場合は、捕獲後の処理についても確認しておきましょう。
害獣駆除は業者を利用しよう!
害獣駆除は法律の制限に加え、知識や技術がなければうまくできないことも多々あるため、個人で行うにはハードルの高い作業であるといえます。また、自分で駆除する場合、害獣に出くわすと対象動物から攻撃されることもあるため、専門的に駆除を行っている業者に依頼するのがおすすめです。
害獣のプロであれば、害獣の動きや生息場所を熟知しているため、確実に駆除してもらえます。また、家屋や周辺の民家に悪影響を及ぼさない方法を知っているため、害獣駆除による家の劣化や近隣とのトラブル防止にも効果的です。
害獣駆除なら、防除研究所にご相談ください。
防除研究所は衛生管理指導も行う害獣駆除のプロ集団です。高い駆除技術はもちろん、徹底的な再発防止と保証で高品質なサービスをお約束します。また、効果測定やレスポンスの速さも強みです。即日対応もしているため、害獣被害をすぐに解決したい場合にも適しています。害獣にお悩みの方はお気軽にお問い合わせください。
まとめ
害獣駆除に関しては、自治体が駆除の補助金や助成金を支給していることもあります。ただし、害獣駆除は法律により厳しく制限されているため、自由に捕獲や駆除を行うことはできません。基本的には自治体の制度に基づき、捕獲許可のための申請などが必要です。
個人が捕獲を実行するのは法律的な観点に加え、捕獲に慣れていないと駆除が難しい点などでハードルの高さがうかがえます。害獣被害に悩んでいて一刻も早く駆除したい場合は、害獣駆除のプロに任せることをおすすめします。